夏から秋へ季節はすすむ。
日が翳るのが早くなった。しかし、暑さはまだまだ日々の体力を奪う。
今日1日の仕事が終わった。満身創痍、ヘトヘトになった体を仕事場から引き剥がし、我が家へと向かう。
駅ですれ違う人たちもきっとそうなんだろうなぁ、今日も一日、お疲れ様でした。
言葉なく行き交う人を人と思うか空気と思うか。最寄駅の狭い階段をのぼりきり、信号待ちをしたりトボトボと歩き、集合住宅の一階にあるポストを見るのは日常のルーティンである。
ポストを開けると、ごちゃごちゃと入ったままのDM。水道修理、フィットネス、云々カンヌン。今日はどのくらい増えたかな。間違いさがしのようだ。
しかし、その日はそこには業者のものではない、空色の封筒がキラキラと異彩を放って座っていた。
慌てて取り出して宛名を確認。
あ、
あ!あよちゃんだ!!あよちゃんだ!あよたんだあよたんあよたたたてたたたたたた!
心が弾んだ。
私は階段を駆け上り、急いで鍵を開け、部屋の照明をつけて封筒をその灯で透かし、中身の位置を確認する。
は、はさみはさみはさみ!冷蔵庫のマグネットフックにかかっていたハサミを慌てて手にすると
封筒を一直線に一思いにザクっと切った。
切ってから気がついた。
"わざわざ手紙をよこしたんだ。なにか重大なお知らせではないのか"
切った封筒から中身を取り出せなくなり、躊躇した。
結婚のお知らせかな…でも、それだったら分厚い綺麗な招待状だし、これは普通の手紙。
薄い。
悩むのはあとにしよう。
恐る恐る封筒から取り出した手紙。
この折り方はっ!
スマホや携帯電話がまだ普及してなかったワタシ世代は中学生の頃、友達間でこのような手紙のやり取りが流行っていた。
https://letters.tank.jp/kihon/basics1.html
ふとおもいだした。約2ヶ月前、
Twitterでこの手紙の折り方を懐かしむ書き込みをみて、思わず
「ワタシは学生時代、この手紙を送る相手も送ってくれた相手もいませんでした」
と、寂しいことを書いてしまったのをあよちゃんはみていてくれたようだ。
恐る恐る手紙を開くと
あよちゃんの最近の近況と他愛のない、本当に中学生の頃こういうやり取りの手紙を友達としたかったなぁという内容でひとり、声をだして泣いた。
ワタシの為に何かしてくれるだけって
それってとっても嬉しくてありがたい。
嬉しくなって勢いでお返事を書き、
近くのダイソーでシールを何枚か買い、貼って翌日の朝、ポストへ投函した。
あよちゃん、お返事書いたよ。
誤字脱字あるとおもう。読み返さなかった。
ごめんね。
とっても嬉しかったんだ。
早く手元に届きますように
バーイセンキュウ